小さな芽≪番外編≫AFRO IZM ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 「おめでとさ~~~~ん」 「おまっとさん!」 「おめでと」 「おめでとーーーー!」 リョー、桜火、カイ、シュウの四人は、珍しく正装を着ていた。 「ありがと~~~~!!」 「えへへ、ちょっと天才にしては居残りすぎちゃったかな」 エリー、クロの二人も、今日は正装だ。 そう、今日は新米ハンター養成学校の卒業式。 あれから半年ほどの年月を得て、やっと新米ハンターとして歩むことが認められた二人は、晴れて卒業式に参加していた。 手紙を受け取った四人は、予定より三日も早く養成学校に着いて、仕方なく三日間の野宿を迫られる事になったのは過去の話。 「いや~~、しかしまぁ、やっとこれでハンターとしての第一歩が踏めるってもんだな」 と、リョーが腕を組み名がら言う。 「うんうん、最初はどうなるかと思ったけど、無事に卒業できてよかったよ」 と、カイもあとに続く。 「いや~、お恥ずかしい事に三年以上もかかってしまいましたが」 と、クロウは卒業記念に贈られた武器、“クロオビハンマー”を肩にかけつつ照れている。 そのハンマーのちょうど真ん中部分には、ちょっとした欠けた部分がある。 「・・・あれ、桜火のヤロウとシュウは?」 エリーが辺りをキョロキョロ見渡す。 これまたエリーも卒業記念に贈られた防具、“クロオビシリーズ”が入った袋を持っている。 「はっはっは~、クロウ、エリー、二人にプレゼントだ!」 と現れたのは噂の桜火とシュウ。 桜火は色々な調理器具が入った袋、シュウは調合書三点セットを持っている。 「エリーはこれからチーム内での料理担当な」 「クロ、この調合書よくわかんないからチーム内での調合役、よろしく」 と、それぞれプレゼントが渡された。 「クロ」 「エリー」 二人は、お互いの名を呼び、うなずきあう。 そして後ろを振り返り、池に向かって振りかぶった・・・・・。 ―ブンッ― 「あぁ~~~~・・・・」 桜火とシュウのプレゼントは、見事に池の真ん中に“ポチャン”と音を立て、そのまま沈んでいった。 「クロウ!クロウ=ティンバー!」 「は~~~い?」 突然、教官から呼ばれたクロウ。 「探したぞ、お前宛に花束だと」 そう言って教官が届けられた花束を渡す。 中には手紙が入っていた。 “クロウ=ティンバーへ 今日が卒業の日だと聞いた。 あの日、お前には何も教えられなかったが、無事に卒業できてよかったと思う。 これからいっそう狩りに励んで、いつかお前が俺と肩を並べる時がきたら、共に狩りに行こう。 卒業おめでとう。 時雨 ” 「わお、時雨さんからだ!」 「あにぃ~~、あんにゃろう、キザな真似しおって・・・」 「桜火さんも、少しは気の利いた贈り物の一つでもしなさいよっ」 と、パンチの効いたツッコミをいれるエリー。 「さて・・・」 リョーが一区切りついたところで、みんなをまとめる。 「今日が俺たちの新しい旅立ちだ!そこで、チームの名前を決めたいと思う!」 そう、リョー達四人と、エリーとクロは約束をしていたのだ。 二人が無事に卒業したら、共に狩りをすると。 「う~~ん、何がいいかな・・・」 「桜火、なんか考えがあるって言ってなかった?」 「あぁ、聞きたいか?シュウ、よ~~く聞いとけ」 「どーせ“桜火とその家来共”だろ?メモ書き見たよ、こ~んな大きな印つけてさ・・・」 「これだけ考えておいて、よくこれを選んだわね、センスを疑うわよ、ホント」 エリーが覗き込んだ紙には、十数個の候補と思われる名前が書かれてあった。 「“リュウゼツラン”・・・・・ってのはどうだ?」 「おぉ!!それいいね!!」 と、全員の視線が向けられた先には、全身黒ずくめで、フードを被った怪しい男がいた。 「・・・・、誰よオマエ」 「ふっ、ただの通りすがりの旅人さ」 そう言った男の手には、クロウに送られた花束から風で飛ばされた、一輪の花がつままれていた。 「ふむ、なんか響きがいい感じだ、どう思うよ、みんな?」 と、全員に意見を求めるリョー・・・・、とその時。 「おい!いたぞ!」 「そいつ捕まえてくれ!泥棒だ!」 「あいつよ!アタシの下着を盗んだのは!」 リョー達の後ろから、大勢の人が走ってくる。 「う、しまった、つい足を止めてしまった、では君達、アディオスだ!」 そう言って男は走り去っていった。 「アイツ・・・泥棒かよ」 桜火は呆れたような顔をしている。 「ムムムムム、女の子の下着を盗むなんて、なんてうらや・・・憎たらしいヤツなんだ」 「クロウ、あとで覚えてなさいね」 「はぁ~、まったく桜火の悪影響が・・・」 「で、どうすんよ、リーダー?」 「決まってるだろう、我が“リュウゼツラン”の最初の任務は、あの泥棒を捕まえる事だ!みんな走れ!」 「りょーーーかい!」 男が走り去った道には“天下の大泥棒・サタン三世”と書かれた紙が風にあおられ、宙に舞っていた―――。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ジャンル別一覧
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