038545 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

狩人Tシャツ推奨委員会のスタッフルーム     ~そこに空いてる穴から覗いた風景~

狩人Tシャツ推奨委員会のスタッフルーム     ~そこに空いてる穴から覗いた風景~

小さな芽≪番外編≫

―小さな芽―


                                                AFRO IZM


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

:養成学校・集会所の外:


「おめでとさ~~~~ん」
「おまっとさん!」
「おめでと」
「おめでとーーーー!」

リョー、桜火、カイ、シュウの四人は、珍しく正装を着ていた。

「ありがと~~~~!!」
「えへへ、ちょっと天才にしては居残りすぎちゃったかな」

エリー、クロの二人も、今日は正装だ。
そう、今日は新米ハンター養成学校の卒業式。

あれから半年ほどの年月を得て、やっと新米ハンターとして歩むことが認められた二人は、晴れて卒業式に参加していた。
手紙を受け取った四人は、予定より三日も早く養成学校に着いて、仕方なく三日間の野宿を迫られる事になったのは過去の話。

「いや~~、しかしまぁ、やっとこれでハンターとしての第一歩が踏めるってもんだな」
と、リョーが腕を組み名がら言う。
「うんうん、最初はどうなるかと思ったけど、無事に卒業できてよかったよ」
と、カイもあとに続く。
「いや~、お恥ずかしい事に三年以上もかかってしまいましたが」
と、クロウは卒業記念に贈られた武器、“クロオビハンマー”を肩にかけつつ照れている。
そのハンマーのちょうど真ん中部分には、ちょっとした欠けた部分がある。
「・・・あれ、桜火のヤロウとシュウは?」
エリーが辺りをキョロキョロ見渡す。
これまたエリーも卒業記念に贈られた防具、“クロオビシリーズ”が入った袋を持っている。

「はっはっは~、クロウ、エリー、二人にプレゼントだ!」

と現れたのは噂の桜火とシュウ。
桜火は色々な調理器具が入った袋、シュウは調合書三点セットを持っている。

「エリーはこれからチーム内での料理担当な」
「クロ、この調合書よくわかんないからチーム内での調合役、よろしく」

と、それぞれプレゼントが渡された。

「クロ」
「エリー」

二人は、お互いの名を呼び、うなずきあう。
そして後ろを振り返り、池に向かって振りかぶった・・・・・。


―ブンッ―


「あぁ~~~~・・・・」
桜火とシュウのプレゼントは、見事に池の真ん中に“ポチャン”と音を立て、そのまま沈んでいった。

「クロウ!クロウ=ティンバー!」
「は~~~い?」

突然、教官から呼ばれたクロウ。
「探したぞ、お前宛に花束だと」
そう言って教官が届けられた花束を渡す。
中には手紙が入っていた。

“クロウ=ティンバーへ
 
 今日が卒業の日だと聞いた。
 あの日、お前には何も教えられなかったが、無事に卒業できてよかったと思う。
 これからいっそう狩りに励んで、いつかお前が俺と肩を並べる時がきたら、共に狩りに行こう。

                                 卒業おめでとう。 時雨 ”

「わお、時雨さんからだ!」
「あにぃ~~、あんにゃろう、キザな真似しおって・・・」
「桜火さんも、少しは気の利いた贈り物の一つでもしなさいよっ」
と、パンチの効いたツッコミをいれるエリー。

「さて・・・」
リョーが一区切りついたところで、みんなをまとめる。

「今日が俺たちの新しい旅立ちだ!そこで、チームの名前を決めたいと思う!」
そう、リョー達四人と、エリーとクロは約束をしていたのだ。
二人が無事に卒業したら、共に狩りをすると。
「う~~ん、何がいいかな・・・」
「桜火、なんか考えがあるって言ってなかった?」
「あぁ、聞きたいか?シュウ、よ~~く聞いとけ」
「どーせ“桜火とその家来共”だろ?メモ書き見たよ、こ~んな大きな印つけてさ・・・」
「これだけ考えておいて、よくこれを選んだわね、センスを疑うわよ、ホント」

エリーが覗き込んだ紙には、十数個の候補と思われる名前が書かれてあった。









「“リュウゼツラン”・・・・・ってのはどうだ?」

「おぉ!!それいいね!!」






と、全員の視線が向けられた先には、全身黒ずくめで、フードを被った怪しい男がいた。

「・・・・、誰よオマエ」
「ふっ、ただの通りすがりの旅人さ」

そう言った男の手には、クロウに送られた花束から風で飛ばされた、一輪の花がつままれていた。

「ふむ、なんか響きがいい感じだ、どう思うよ、みんな?」
と、全員に意見を求めるリョー・・・・、とその時。


「おい!いたぞ!」
「そいつ捕まえてくれ!泥棒だ!」
「あいつよ!アタシの下着を盗んだのは!」


リョー達の後ろから、大勢の人が走ってくる。

「う、しまった、つい足を止めてしまった、では君達、アディオスだ!」
そう言って男は走り去っていった。

「アイツ・・・泥棒かよ」
桜火は呆れたような顔をしている。
「ムムムムム、女の子の下着を盗むなんて、なんてうらや・・・憎たらしいヤツなんだ」
「クロウ、あとで覚えてなさいね」
「はぁ~、まったく桜火の悪影響が・・・」
「で、どうすんよ、リーダー?」

「決まってるだろう、我が“リュウゼツラン”の最初の任務は、あの泥棒を捕まえる事だ!みんな走れ!」

「りょーーーかい!」

男が走り去った道には“天下の大泥棒・サタン三世”と書かれた紙が風にあおられ、宙に舞っていた―――。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


© Rakuten Group, Inc.